2026/02/08 16:03

塗装ブースに対する不満として、

・大きな部品を扱いにくい

・掃除しにくい

という点があることは、前回の記事で触れました。

 

次に考えたのは、

「ブース内をもっと広く使え、なおかつ塗装品質を落とさない吸引方法はないか」

という点です。

 

1.斜めの整流板を前提にしない構造を検討する

 多くの模型用塗装ブースでは、

内部に斜めの整流板を設け、

その下部や裏側に吸い込み口を配置する構造が採用されています。

 

この方式は、

・吸引風速を上げやすい

・強力で安定した吸引性能を得やすい

・余剰塗料をチャンバー室内で乾燥させやすい

といった利点があり、合理的な構造です。

 

一方で、

ブース内の有効スペースは、

どうしても「斜め板より手前」に制限されます。

 

私たちは、

塗装対象をブース内に完全に収めたまま、余裕を持って作業できること

を重視し、

斜めの整流板を前提としない構造を検討することにしました。

 

2.強い吸引力と、繊細な細吹きの関係

 次に直面したのが、

吸引力と塗装品質の関係です。

 

大量の塗料を高い噴霧圧力で吹き付ける缶スプレー塗装では、

比較的強い吸引風でも、塗料が流されずに、塗装対象に塗料を付着させることができます。

 

しかし、エアブラシによる繊細な細吹きでは状況が変わります。

 

少量の塗料を低い噴霧圧力で吹き付けるエアブラシによる細拭きでは、

吸引風が強いと塗料が吸引風に流されやすく、

塗装対象に付着する前に吸い込まれてしまう場合があります。

 

これは、

「吸引力が強すぎるから」起きるというよりも、

塗料の進む向きと、空気の流れが噛み合っていないことが

原因ではないかと考えました。

 

3.吸引風速を下げる以外の方法を探す

 一般的な対策としては、

吸引風速を可変にして調整する方法があります。

 

ただ、実際に使ってみると、

・最適な設定を探すのが難しい

・塗装内容ごとに調整が必要

といった理由から、使いやすさに改善の余地を感じました。

 

そこで、

吸引力を弱める以外の方法で、細吹きを成立させられないか?

を考えてみました。

 

4.塗料を「流されにくくする条件」を作る

 着目したのは、

塗料を噴霧する向きと、吸引風の向きです。

 

この2つの向きが大きくズレていると、

塗料は吸引風に流されて、塗料の噴霧の向きが意図した方向から外れやすくなります。

 

逆に、

噴霧方向と吸引方向が近ければ、

塗料は空気の流れに自然に乗り、

塗装面に付着しやすくなります。

 

つまり、

吸引力を下げるのではなく、

塗料が吸引風で流されにくい状態そのものを作る

という考え方に切り替えました。

 

5.まとめ

・斜め板に依存しないことで、ブース内を広く使いたい

・強い吸引力を保ったまま、細吹きを成立させたい

この2つを同時に満たすために、

吸引方式を再検討しました。

強い吸引力そのものが、細吹きの敵ではないと考えた

塗料と空気の“向き”を揃えることが重要だと気づいた

 

次の記事では、

この考え方を具体的な構造として落とし込んだ

吸引方式の選択について説明します。