2025/08/24 11:50


モビルブースにご関心をお寄せいただきありがとうございます。
今回は、塗装ブースの基本機能である「吸引性能」について、モビルブース01の設計指針をご紹介します。

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設計指針 1:ブース開口面風速 0.7m/s 以上を確保

モビルブース01は、塗装ブース単体での開口面風速を 0.7 m/s 以上とするように設計しています。

 

関連法規への適合

モビルブースが採用する「囲い式フード」は、法規により以下の制御風速(フード開口部の最小風速)が求められます。

  • 有機溶剤中毒予防規則:0.4 m/s 以上
  • 特定化学物質障害予防規則:0.5 m/s 以上(ガス状)/1.0 m/s 以上(粒子状)

モビルブース01は、この基準を踏まえたうえで、「実際の使用環境で 0.5 m/s 以上」を目標値としています。

 

実使用環境での風速低下の考慮

実際の使用環境では、ダクトや換気口など排気システムを接続することで圧力損失が生じ、開口面風速が低下します。実験では一般的な排気システムで、およそ 30%程度の低下が確認されました。(詳細は次回以降の記事で、ご紹介したいと思います。)

そのため、実際の使用環境で 0.5 m/s 以上の制御風速を確保できるよう、余裕を持って「単体状態で 0.7 m/s 以上(開口面平均)」を目標値に定めています。


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設計指針 2:背面全体での吸引

塗装対象に吹き付けられなかった塗料がブース壁面で跳ね返ると、再び塗装面に付着し、仕上がりを損なう恐れがあります。

この課題に対し、モビルブース01では以下の設計を採用しました(実用新案登録 第3250920号):

  • 背面全面に多孔板を配置(背面全面吸引パネル)し、塗料ミストを効率的に吸引
  • 背面で捕集しきれなかった塗料を、天井部のスリット吸引口で補完吸引

これにより、塗装対象物の仕上がりを保ちながら、快適な作業環境を実現します。

 

 図.モビルブース01の吸引方式(実用新案登録 第3250920号)


図.モビルブース01の背面全面吸引パネル


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モビルブース01のブース開口面風速の計測結果

モビルブース01は、設計指針通りに開口面風速が出ていることを 風速計で確認しています。

塗装ブース単体での開口面風速は、標準ファン(風量360m3/sec)が0.7 m/sec、大型ファン(風量500m3/sec)が1.0 m/secであり、共に、設計目標0.7 m/s 以上(開口面平均)を満足しています。

 

図.熱線式風速計によるブース開口面風速の計測

 

図.ブース開口面風速の計測結果


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まとめ

モビルブース01は、

  • 法規に基づいた制御風速の確保
  • 実使用環境での風速低下を考慮した余裕ある設計
  • 背面全面吸引とスリット吸引による効率的な塗料の吸引

といった技術的工夫により、安心してご利用いただける塗装環境を提供します。